株式会社やまやま 猪原有紀子

株式会社やまやまは、社会課題を解決しながら子どもにとっていい社会をつくります。

BLOG

自立した市民がいる場所は栄える

株式会社やまやま 代表取締役の猪原有紀子です。

私は4年前に過疎化が進む和歌山県かつらぎ町に移住しました。

小2、小1、4歳の三兄弟を育てながら地域を巻き込みソーシャルビジネスを立ち上げてきました。

その中で、自立した市民として生きることが地域で事業をする上でとても大事な考え方だと思うようになったので今日はそのことをシェアしたいと思います。

行政に対して、これやってよあれやってよはみっともない

私の町はかつらぎ町役場があり、そこに町長をはじめとした職員の方がいます。移住してまもない頃、町民を30人程集めて「子ども達にとって魅力的な町にするための」ワークショップ を1年がかりで開催していました。

その中で、町長を呼んで子育て世帯からの要望を聞いてもらったり意見交換をする場があったのですが「ゴミ袋を無料にしてほしい」とか「チャイルドシートを提供してほしい」とか「子育て世帯が集まる場所を無償提供してほしい」とかそんな声が多々出たんですね。笑

私は、自立した個人と個人の間にしか信頼関係は生まれず、価値もつくれないと信じているのですが、個人と行政の関係も同じだと思うのです。つまり自立した市民になることが、結果的に魅力的な町を創り出すことに繋がり、自分や子どもや孫の代に返ってくると思っています。

行政は社会課題を解決するために存在しています。ゴミ袋が高いと感じるその課題は、社会課題ではありません。

自立した市民は最初から行政に頼らない

自立した市民は、そもそも何かを行政にやってほしいとはあまり思っていません。民間でできることはやる。町のためになることではあるけれど、自分がやりたいことだから自分でリスクをとってやり始めます。その過程で、これは行政の力を使った方がいいから使おう、こんな感じです。スピーディーに自分でリスクをとってやり始めるので、その取り組みはなんらかのインパクトを持ち始めるのもはやいことになります。つまり、アイデアだけでは意味のないことを早い時点でインパクトの段階に持っていけるのは、自立した市民の特徴です。

自立した市民がいる場所は栄える理由

そんな自立した市民がいる場所がなぜ栄えていくのか?それは行政というのは常に前例を探しています。新しいこと前例のないことは出来ませんしやろうともしませんし、支援しようともしない組織です。残念ながら、本当にそうなんです。笑 でも民間でそれを始めている人が成功していたらどうでしょうか?行政は前例を探しますから、この人は民間でやっていてこんな結果が出ている。そしたらやってみようとなるのです。

私はかつらぎ町に移住して観光農園を立ち上げたかったので10年勤めた会社を辞めて農家になりました。認定新規就農者の審査会の時に、農協に卸さず、観光農園とネット通販のみで、バス会社と提携などせずネットで集客するというプランを出したら見事に審査に落ちました。再審査を要求して審査結果をひっくり返し、合格を頂きましたがなぜ審査に落ちたのか?というと、理由は前例がなかったからです。昔ながらの慣行農業のやり方で農薬をいっぱいかけて柿や野菜をつくり農協に卸すやり方をしている人たちは、スルリと書類審査で通るのです。

しかし、私がリスクを自分でとって農業未経験者で観光農園を立ち上げて、集客に成功し、メディアに取り上げられていることを行政は知っています。だから、今後、私のような人が、同じように「ネットで集客をします。農協には卸しません。」というプランを出してきた時に、私の事例と比較をして検討段階に入ることができます。私の時は、私が1人目だったのですぐに不合格でしたが、2人目になるとそうもいきません。そのため、新しい人が入ってくるようになり新しい挑戦がしやすい場所になるのです。

私は地方で2つの異なる領域のソーシャルビジネスを立ち上げてきましたが、成功の要因の1つは、自立した市民でいようとしてきたことだと思っています。私が自立した市民だからこそ、行政と対等に話ができますし、ここぞという時に、「こっちの方が地域がよくなるから、これをしてください」とオファーを出せます。逆に、行政からオファーを頂くこともあります。win-winの関係が築けると、地域はどんどん発展していきます。

まとめ

●自立した市民がいる場所は栄える

●行政は常に前例を探す組織

●自立した市民と行政のwin-win タッグは最強